【コラム】2020年が最も重要!今後退役が予想される747-400を徹底解説
2017年は各航空会社相次いで747-400を完全退役させる年になりました。米系航空会社であるデルタ航空、ユナイテッド航空をはじめ8月にはエバー航空も旅客型747-400を完全退役させました。
今回は未だに正式発表のない747-400にフォーカスを当てて記事を書いていきます。
世界的には現役が目立つ747-400
世界各国で747-400の退役が進んでいるとはいえ、生産の1/3以上は未だにアクティブなのが現状です。
その多くが貨物機であることに間違いはありませんが、ヨーロッパでは旅客型747-400が数多く運用されています。
そのほか、中東地区やロシアでも747-400が運用されています。
今回は各航空会社に分けて正式発表のない747-400の行方について解説していきます。
Contents
大韓航空
大韓航空では、段階的に747-400の数を減らしてきました。現在4機の747-400が現役ですが、金浦-済州線にデイリーで入るほか仁川発着のアジア路線にも就航しています。
747-400に関する正式発表はないものの、金浦-済州線が冬スケジュール以降運用に入らないことが計画されていることから2017年末までに退役する可能性があると予想されています。
しかし大韓航空は仁川ベースから撤退させる話がありましたが、現在も使用しているため更なる延命処置が取られる可能性は高いと思われます。
保有機材(4機)
HL7460,HL7461,HL7402,HL7495
タイ国際航空
タイ国際航空では現在10機の747-400を保有しています。
ここ数年は10機体制(時々重整備のため離脱)で運用されており、退役は進んでいません。2017年冬スケジュールでもバンコク-新千歳線にデイリー運航で入る予定など、活発な運用を見せているTGジャンボですが、2020年までに完全退役が予定されています。
タイ国際航空では、後継機として787-9やA350-900XWBの導入を進めており、入れ替わる形で747-400が退役すると思われます。
保有機材(10機)
HS-TGO,HS-TGP,HS-TGW,HS-TGX,HS-TGY,HS-TGZ,HS-TGA,HS-TGB,HS-TGF,HS-TGG
チャイナエアライン
中華航空では、現在5機の747-400を保有しています。
ここ1~2年で大幅に数を減らしている同社ですが、退役に関する正式な発表はなく正確な退役時期は明確ではありません。昨年B-18211のSkyteam塗装の電撃デビューなど明るい話題もあった同社ですが、バンクーバー線の撤退によりロングホールフライトからの撤退、10月末での成田線からの撤退など退役に向けた準備も進んでいます。
今後はアジア路線を中心に運用されることが予想されますが、A350の導入も順調に進んでいるため2018年~2019年頃の退役が予想されます。
保有機材(5機)
B-18208,B-18210,B-18211,B-18212,B-18215
KLMオランダ航空
KLMオランダ航空では、現在15機の747-400を保有しています。
747-400に関しては比較的安泰とされているヨーロッパですが、KLMに関しては正式なプレスリリースはないものの、公式SNSアカウントが2020年末までに完全退役させると発表しています。
少しずつではあるものの初期に導入された747-400の退役が進んでおり、2017年9月現在までに7機の747-400が退役しており、今後も数を減らすことが予想されます。
実際に2018年夏スケジュールからは747-400の運用が大幅に減少することが計画されており、それに伴った退役機材も予想されます。
保有機材(15機)
747-400M : PH-BFC,PH-BFF,PH-BFH,PH-BFI,PH-BFR,PH-BFS,PH-BFT,PH-BFU,PH-BFV,PH-BFW,PH-BFY
747-400 : PH-BFB,PH-BFG,PH-BFL,PH-BFN
ヴァージンアトランティック航空
ヴァージンアトランティック航空では、現在8機の747-400を保有しています。
同社では747-400を2019年~2021年に間に完全退役させる計画としています。同社はA350-1000を12機導入予定で、それらと入れ替わる形で747-400が退役すると予想されます。
既にロンド・ヒースロー空港からは787-9と入れ替わる形で撤退済みで、現在はロンドン・ガトウィック空港をベースに北米路線を中心に運航されています。
保有機材(8機)
G-VBIG,G-VAST,G-VXLG,G-VROS,G-VGAL,G-VLIP,G-VROM,G-VROY
エル・アル航空
エル・アル航空はイスラエルのフラッグキャリアとして5機の旅客型747-400を保有しています。
現在テルアビブ-ニューヨーク線を始めとする運用に固定されていますが、時々ヨーロッパの大空港へ機材変更やスケジュールで入ることもあります。毎年夏期のみアムステルダム線に入ることは有名です。
エル・アル航空も後継機として787-9の導入を進めています。2017年8月に787-9初号機を受領し、今後急速に退役が加速することが予想されます。
現在の計画では2020年に787の導入が完了すると同時に747-400を完全退役させる予定です。
保有機材(5機)
4X-ELA,4X-ELB,4X-ELE,4X-ELC,4X-ELD
カンタス航空
カンタス航空では現在4機の747-400と6機の747-400ER、合計10機の747-400を保有しています。この内4機の747-400は2020年までに完全退役させる予定です。
ノーマルの747-400は計画通りですが、747-400ERに関しては今後も運用され続けることが予想されます。747-400シリーズの中でも最新の747-400ERを保有しているのはカンタス航空のみですが、シドニー-羽田線をはじめ世界各国でその姿をしばらく見ることができるでしょう。
保有機材(10機)
747-400ER : VH-OEE,VH-OEF,VH-OEG,VH-OEH,VH-OEI,VH-OEJ
747-400 : VH-OJS,VH-OJT,VH-OJU,VH-OEB
中国国際航空
中国国際航空では、現在3機の747-400を保有しています。
既にロングホールフライトや海外路線からは撤退済みで、国内線を中心に運用されています。3機の内、B-2472は政府専用機としての役目を務めており、通常のフライトにアサインされることはありません。
中国国際航空も正式な退役アナウンスはなく、退役時期の予想は困難です。同社は747-8を保有しているため、Boeing 747自体の消滅ではないためひっそりと姿を消す可能性もあります。
保有機材(3機)
B-2445,B-2447,B-2472
ガルーダインドネシア航空
ガルーダインドネシア航空では、現在1機の747-400を保有しています。現在アクティブなのはPK-GSHです。
実はガルーダインドネシア航空では2017年4月22日を最後に退役するという発表がありました。一度は退役した747-400でしたが、現在ハッジチャーター機材として運用を続けています。塗装もそのままで、GA1400番台の便名で運航を続けています。
ハッジ関連のチャーターが終了するとともに正式な退役となるのか不明ですが、今後の動向に注目です。
保有機材(1機)
PK-GSH
2020年は2017年以上に重要な年に
上記で掲載した航空会社で目立つのが「2020年完全退役」の文字です。
タイ国際航空、KLMオランダ航空、エル・アル航空、カンタス航空(747-400ER以外)と、世界でも有数の航空会社から747-400が完全退役する年になりそうです
。上記に掲載した航空会社から全ての747-400が退役するとアクティブな747-400の数が現在の半数以下となります。
残された希望は・・・
各航空会社から退役が進む747-400ですが、世界から姿を消す日は程遠いと予想しています。
ブリティッシュエアウェイズでは、現在34機の747-400を保有しています。2016年に18機の747-400をリニューアルし、今後も長距離路線の主役として運用し続けるとしています。
同社は23機の747-400を2020年まで運用することを計画しています。さらに同社ではA350や787シリーズの導入を進めるものの、747-400の数に合致する後継機の導入を決定していないことから、退役の予定は当分先だと予想されます。
その他、先述の通りカンタス航空では747-400ERを保有しており、全機が2000年以降製造の機体のため退役は当分先と考えられます。
大手航空会社以外にも747-400を保有している航空会社は存在し、今後は大手航空会社を退役した機体が新たな活躍の場として需要が高まることも予想されます。多くの操縦士や整備士が「747-400は極めて優秀な機体」と話すだけに信頼も厚く、長く活躍できる機体として注目を浴びることとなります。
日本では見ることが少なくなりますが、Japanese-Spotters.comでは今後も747-400の動向をご紹介していきます。